関東大会を終えて、
ありがたいことに勝てば勝つほどこんなことを言われることが増えた。
「今年の日体はいいチームだし、強いよね」と。
その度にめちゃくちゃ嬉しいと同時に「そんなわけあるかい!!!」と思う。
どういうことか?
いい結果を出すチームはその1年間だけでその結果になっているわけがない。(後藤調べ)
今年の日体だってそうだと思う。
昨年、入れ替え戦が決まってから、黒田健志郎率いる4年生は「1部という舞台を守り切る」という強い意思の元、1ヶ月間死に物狂いでチームを再建してくれた。
また、話は少し変わるが、最初にコーチをやろうと思った理由は日体の学生は“挨拶”ができるからだった。ただ学生の10倍くらい大きな声で水田さんが挨拶してくれたことを覚えている。この人ヤベェって思うと同時にこのチームはポテンシャルしかないって感じた。
大きな声で挨拶ができる人は自然と人を引き寄せる。
このチームが勝ったらラクロス界がいい方向にいくかもしれないと思った。
そうした過去からの積み重ねがあり、今年の結果があると思う。
本当に水田さんをはじめとした日体のOBGの方々、そしてこれを読む人が想像する3倍は辛い思いをしながら走り切ってくれた健志郎世代のみんなには感謝している。
(健志郎世代のみんなが半分以上何かしらの形でラクロスに関わってくれていること、今でも応援に来たら最前線で大声を出して応援してくれることも嬉しいです。)
ただ、それ以上にともひろをはじめとした全員の覚悟と努力が今の結果を築いているという話も少しだけ皆さんにお伝えできればと思っています。
前置きが長くなりました。
今年度より日本体育大学男子ラクロス部のHC(ヘッドコーチ)を務めています後藤駿太と申します。
なんでお前がHCやねんってツッコミもあると思いますがあえてそこには触れずブログを書き進めます。
皆様の支えや温かい応援があり8年ぶりに関東制覇を成し遂げることができました。
また同時に女子ラクロス部も関東制覇を果たしまして男女アベックでの優勝になります。
準決勝、決勝共になんとか延長戦で勝ちきれました。逆転された場面や土壇場で結果を出し続ける学生をみるとこの1年間で本当に成長したなと感じますし、何よりも決勝弾の時のスタンドの光景には震えました。
あの瞬間を今後もより多くの人と分かち合えるチームであり続けられるようにHCとしての責務を全うしたいと思っています。
今回のブログでは全学に向けてというよりは今年どんなチーム創りをしてきたのかについて書いていこうと思います。全学の意気込みはまた後日書かせていただきます。
ではここからはより熱量と想いを文章に込めて書きます。
良くも悪くも僕は信念を持って生きている。
これは仕事においてもコーチをやるにおいても、当然大学生だった現役時代も。
信念を持つようになったのはある人からの問いかけだった。
当時大学3年の私は立教大学の男子ラクロス部の副将になったばかりだった。日本一になったことのないチームをどう日本一にするのかをある人に相談していた。
その時に問いかけられた言葉が「立教が日本一になって誰が嬉しいの?笑」
という至極簡単な問いだった。
しかしその時に僕が思い浮かんだ答えは「立教のメンバーとOBと保護者以外は別に嬉しくないと思います」というつまらない回答だった。
「その答えの中で立教と関係のない自分が君を手助けする意味はあるのか?」
そう返された。ケチとかなんでだよとかそう言う気持ちには一切ならず、この人めっちゃ真っ当なこと言うなぁ。と感心してしまった。
これが自分の信念を考えるきっかけとなっている。
当事者として日本一を目指して5年目になるが、この信念と呼んでいる何かを持ったせいでいいことも悪いこともたくさんあった。むしろ今までは悪いこと、悔しかったことのほうが多かったかもしれない。
すぐに全員が共感してくれるわけでもないし、共感してくれて結果が出ないと人は離れる。それでも僕は自分の信念を貫き通し日本一になりたかった。
僕がHCとして持っている信念は
「関わる”全ての人々”が幸せになるための組織にする」
というものだ。
ここまで理念でもビジョンでもなく、あえて信念と書いているのは全員が幸せだと感じている状態の組織こそ真に強いチームだと僕自身が信じているからである。真に強いチームが勝った時こそ業界に革命が起きると信じている。
なぜこの信念を持つことになったのかについても軽く触れておきたい。
僕が尊敬する人にリーダーとは何かという話を聞いたことがある。
その人は
リーダーは「組織全員を幸せにすること」が責務だと教えてくれた。
色々な人にこの質問を投げかけ色々な考えを聞いたし、自分の中でもずっと考えているが未だこの言葉以上にしっくりくる言葉は見つかっていない。
だから僕はHCとして部員、コーチ陣、広く言えばOBや保護者、他大のラクロッサー、ひいてはラクロス界をどうやったら幸せにできるのかを追求すること、そして行動し続けることが自身の使命だと思っている。
この信念は学生が決めた今年のスローガンである『HERO』とも重なると思っている。
主将のともひろと連携し何度もどうやったら全員の幸せを実現できる組織になるのか。
そして全員がHEROになりたいと思うのかめちゃめちゃ話し合った。
全員の幸せを追求する中でこだわった点は例えばこんなところ
(よくあるチームの悩み、未解決問題だと思う。この問題に根本から向き合い改善したことも今年の結果に起因すると考えている。)
・TOPチームだけではなくImpactチームや1年生もイキイキと部活に取り組むにはどうすれ
ばいいのか
・スローガンの浸透と行動への紐付けはどうやったら実現するのか
・自主練をさせるのではなく、自ら自発的にするようになるにはどうすればいいのか
・スタッフや応援してくれているメンバーが試合に勝ったTOPチームに「おめでとう」では
なく一緒に戦ったメンバーとして喜びを分かち合うにはどうすればいいのか
・80人を幸せにする組織を実現するためにベストなコーチ体制はどんな体制なのか
など向き合った課題は計り知れない。
これだけのことをする中で今年1年間、みんなには多くのことを求めさせてもらった。
求めないと勝てないし、勝てないだけじゃなく何も残せないままこのシーズンが終わってしまう。
何よりも求めることが全員の幸せに繋がり、HEROを根付かせるやり方だと確信していた。
またそもそもみんなにも誰かを幸せにするという感覚を持って欲しかった。
極論、その感覚がない人が勝者になることは逆に誰かの不幸せを生むかもしれないと思っている。
もう1年間、語りきれないほどのストーリーがある。
ただ間違いなく言えることはこの信念が今の日体の文化となり、結果となっていると思っている。
選手・スタッフ・コーチ問わず、「自分の承認欲求ではなく、このHEROというスローガンを掲げ日本一を目指しているチームに対して自分はどんな貢献ができるのか」を常に考えるよう求めていた。
1番嬉しいのは4年生だけではなく下級生も含め組織の全員が自分の言葉でHEROを語れるようになったこと。
その結果、組織に健全な競争力が生まれ活躍する下級生も増えた。これが結果的にプレーオフを勝ちきれた要因だと思っている。
TOPチームに呼ばれないことには必ず理由がある。
スタッフをやっていていつもチームのために働いてるのになぜか周りに認められないことや褒められないことにも理由がある。
その状況に不満や文句をいうのではなく、絶望を感じるのではなく、常に「自分は何をすればこのチームでHEROになれるのか」から考えるように何度もいってきた。
最初は全員がキョトンとした顔をしていたことを覚えている。
ただ、慶應戦、Bリーグのファイナル4や3位決定戦、ファイナル4や関東ファイナル。
また合宿で泣きながらそれぞれの想いを語ったチービル。
明らかに全員の眼のガチ度合いが変わりはじめていると感じた。
唯一、5月から2年生で1人TOPのボックスに入り続けているみなみはマジでいい眼をするようになったと思う。
他にも色んなメンバーが各所で活躍してくれている。
試合で自分が活躍できないと不貞腐れる眞下が4年生を負けさせるわけにはいかないと強い覚悟を持ち掴み取ってくれた東大からの4得点
チームを引っ張る覚悟までは持ちきれていないと決勝前日のサウナで話してくれたともやが努力の積み重ねで掴み取ってくれた法政からの決勝点
昨年までは一切、当事者意識のかけらもなく(本人なりにはあったんだと思うが、、)ちゃらんぽらんに見えたりんがクリアとライドは僕に任せてくださいと言ってくれた事
(駿太さんのために日本一になりますと言ってくれたことも本当に嬉しかった。)
ファルコンズに負けた練習試合の後に「ファルコンズに勝てる基準でラクロスをやります」と覚悟を持ったリーダーになったそうたろう
相対的な実力はTOPだけど、このままだと期待以上の活躍が見込めないからといった理由でシーズン当初にImpact(Bチーム)と聞いて泣いていた北島と拓郎が今では圧倒的なパフォーマンスを発揮しSSDMの役割を超えチームを勝たせる得点源になったこと
TOPチームで活躍する選手たちだけじゃない。
大事な3年生という期間でシーズン当初に前十字靭帯を断裂したけど、そこから1年間はImpactのコーチとして3位に導き、保護者会を大成功させ、決勝では声が出なくなるくらい応援をしてくれて、ようやく復帰まで1ヶ月を切ったいだけい
なんで僕よりも後輩を試合に出すんですか?と僕に質問をくれたことがきっかけでめちゃくちゃキレてしまったがそれ以降、Bリーグではラスト1秒で得点を決める活躍と、スタッフとしてボックスに入ってはチームがどんな状況になろうがずっと声を出してボックスに活気を与え続けてくれているともき
自分には何も出来ないと言っているが誰よりも後輩思いで後輩がやりやすくする環境をどうやったら創れるんだろうとずっと考えてくれていたはるか。最近はやっと自信がついてきたように見える
当初は承認欲求が強く、簡単な仕事も後輩に任せることができなかったスタッフリーダーだったが、今では誰よりもこだわりを常にもち期待には期待以上の成果で応えてくれるようになったこと。そして誰よりもボックスに入ることにこだわりを持っていたのにその席を自ら後輩に譲り、声でチームを勝たせますと応援席の最前線で闘ってくれているまい。
(全学決勝はボックスでまた一緒に闘おう)
そしてチームの誰もが彼の存在を認め、最も尊敬されている翼。
怪我でプレイヤーを諦め、学生コーチや応援係、全てに人生を懸けるほどコミットしてくれている。ファイナル4で勝った後の彼の感極まった泣き顔は忘れない。
そんな翼から試合後に送られてきたラインをここで紹介したい。
関東決勝をどう感じたのかという問いに対しての彼からの返信だ。
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毎回最前線で応援をしている身としてあまり客観的に応援をみることはなかったですが、栗山さんの決勝点の動画に映ったスタンドの光景をみて、正直驚愕しました。
あれだけ皆が1つのことに熱中し、感情を共有し合えるスタンド。僕はこれが作りたくて今まで必死こいてやってたんだなと改めて感じました。
昨日の練習後、ある質問をされた。
「お前は試合にも出れないのになんでそんなに応援頑張れるの?」
僕は、「試合には出ている」と答えました。この答えこそが、チーム全員が主役になって戦い、HEROを体現できる理由だと思ってます。
そして、この考えに行き着いたのは四年生が土台を作ってくれたということが大きいです。お互いをリスペクトし、評価し合える環境。一人ひとりに向き合う姿勢。勝利に対して貪欲な気持ち。この全てが、今の僕を形成していると思います。
こう考えると、この環境を来年も引き継いでいくことがとても大切であり、少なくともここのメンバーは意識を持っていてほしいとも思います。
まだまだ23 NITTAIの戦いは続きます。まだまだ最大のスタンドを生み出し続けます。
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(ちなみに応援に熱を注ぎすぎて試合後はトイレに籠るほどだった。それくらいの想いを持って応援や集客を最前線で引っ張ってくれている)
まだまだ書ききれない思いや、チーム内で実際に見られる行動はたくさんある。
紹介したいメンバーもたくさんいるがここではここまでに留めておく。
このメンバーと掴めた関東優勝というタイトルは本当に意味のあるものだった。
これらの行動や思いは優勝以外の結果もチームに与えてくれている。
部員が80人なのに140人を超える保護者の皆さんが応援に来てくれること。
しかも実は試合に出ていない1年生の保護者の人数が1番多い。
それだけでなく、40人を超える女ラクの保護者も応援に加わっていただいている。
勝っている時も負けている時も変わらず足を運んでくださる佐川さんやなおきさん
色々なOBの呼びかけもあって決勝は100人以上のOBGが集まってくれた。
また準決勝や決勝は東海大学、一橋大学、中央大学が全員で応援に来てくれたり、立教や東京女子体育大学のみんなも応援に来てくれている。
こうした予選で戦ったチームが応援にきてくれる世界線はラクロスならではだと思うし、このチームの特徴だと思う。
関東の決勝は法政側の応援も合わせて2,000人弱の人が観に来てくれた。閉会式がない決勝戦でこれだけの人が来たのは過去最高人数なんじゃないか、、?知らんけど。
こうした日々の積み重ねもあり
このメンバーとだから『勝ちたい』
このメンバーとだから『勝てる』
このメンバーとだから『歴史を創れる』
このメンバーとだから『幸せになれる』
これが詰まっているのが今の日体だと思う。
母校でもない僕がここまで夢中になれて、この子たちの未来に期待をして、はっきりと人生懸けるほどの価値がこのチームにはあると言える理由はここにある。
他のコーチ陣もみんな同じ気持ちだ
ただ、ここで終わりじゃない。関東の全学生の想いを背負って全国大会も一戦一戦に想いを込めて闘っていこうと思う。
僕が思い描く今年の最後の景色は横浜スタジアムで日体と社会人チャンピオンが戦うことだ。
その時のスタンドに全国から大学ラクロッサーが集まり日体の応援団の一員として応援している未来を創りたい。
この光景はラクロスでしか創れない光景であり、ともひろが主将で僕がHCをやっているチームにしか成し遂げられないものだと思っている。
目標はいつも日本一だけど、夢はその日本一の一歩先にある。
この夢をみるためにまずは残り3戦勝ちます。
いつも応援に支えられて、どんな逆境でも勝ち抜いてこれています。僕たちも引き続き応援されるチームとして進化し続けますので、引き続き熱い応援をお願いします。
最後に立教の同期が毎試合誰かしら応援に来てくれることが何よりも嬉しいです。
僕らが現役の時は負けちゃったけどみんなの想いも背負ってあの時成し遂げられなかったことを僕が成し遂げるから引き続き応援よろしく!
#HC 後藤駿太